BFTレポート  加地武郎さん


2007年4月1日  

お疲れ様です!
またまた釣れないレポです・・・。

昨日の夜から南の風で波がでたのですが今日の午後からは西の風が吹くので午前中にチャンスあるかな?と思い徳島県南の地磯を見に行ったのは午前3時半くらい。

月明かりで明るかったので車を降りてはるか眼下に見えるポイントを見るとあたり一面真っ白な状態で山のてっぺんの駐車スペースにまで海の荒れた音が響いて来ていました。
荒れすぎ?と思いましたが、ココは大荒れでもなんとかなるところなので釣友と2人でタックルを持って暗い山を降りていきました。

道中ターザンになったりロッククライミングしたりしながら降りていくうちに段々と明るくなり始め、磯に立つころにはライトなしでも歩けるくらいです。

波のタイミングを計って磯に渡りポイントを確認しますが荒れすぎな上に波のピッチが短くルアーをトレースするタイミングが少なそうでしたが、なんとかやれそうと判断。




注意深く波を見ながらの釣りを開始しました。



サラシ・風・潮位・いつ出てもおかしくないのですが・・・

何度キャストしてもコースを変えてもルアーを変えても魚信はありませんでした。

唯一の誤算はベイトでした。
いつもはルアーを早引きすると5cmくらいのベイトが逃げるのが見えるのですが今日はどこにもベイトは見当たりませんでした。

山の上を見上げると帰るのが嫌になってしばらく粘りましたが9時ごろあきらめて納竿としました。帰りの山道では魚釣れなくて良かったような・・・
複雑な気分を満喫しつつまたリベンジしたいと思った釣行となりました。





加地さん


お疲れ様です、
こういうときに掛かると厳しい取り込みになりますね。
撤収か決行かの判断が難しいです。
でも画像からはなんとか取り込みは出来そうですね。
直撃波に叩かれないように見えます。
日が明けてからならうまくクリークに誘導すればギャフなりネットなりいけるかもしれません。

昨日、4月1日はうねりが大きかったですね。こちら、伊豆でも厳しかった。
ちょっと横道にそれますが加地さんの記事をお借りして山本ちょっと書かせてくださいねm(_ _)m。

サラシは大きいほど良いと言う方もいますが一般的にはサラシは大きすぎると駄目なケースが多いですね。
まず大ウネリではベイトやターゲットは岸に打ち上げられることを警戒してか接岸しないことが多いです。
ただ例外があるのです。
それが外海に払い出す「大淵サラシ」です。

外海との大淵サラシではベイトもターゲットも安全な方向に吐き出されるだけなのでどれだけ大きなサラシでもここには「サラシヒットの法則」が成立しやすいのです。
そこはたいてい厳しい環境になりますが皮肉にも大釣りができることがあります。
まあ、たやすくといいますか安易にアタリを楽しめるのです。が同時に魔物が棲むポイントでもあります。
そして「大淵サラシ」は地理的にアクセスが難しく、さらにルアーが届くような場所は滅多にありません。

伊豆にはそういった大渕にルアーを投げ入れることができるところが何箇所かあるのです。
が例によってその殆どが掛けても取り込めないのです。

下の画像は加地さんの画像と同じ4月1日の伊豆のポイントです。
波面はなだらかですがぶ厚いウネリが寄せています。


なんとこの日、二名のアングラーが先端でルアーを投げていました。

3ヶ月ほど前、この隣の岬ではメジナアングラーが一名死亡していますがやはりウネリにやられています。


ルアーは飛び道具なので投げる事はできます・・・しかし来ないがマシ、来れば地獄・・・。
行くも引くもならなくなるここは魔界といっていいでしょう。
太平洋ウネリの直接波が叩きつけるポイントです。その怖さを知っているからこそここに来るアングラーは少ないのです。

取り込みは上手くいっても数分はかかりますからアングラーもヒラも同時に下のような状態に必ず叩き込まれます。
取り込みは投げた位置ではなくこの岸際でやらなければならないです。
投げは良い良い掴みは怖いです。

崖からも取り込みは不能。
スネーク・スタビライザーネットやロープ等、専門の用具を揃えてもこの日は不可能。


波は見えますからアングラーは様子を見ながらラインを伸ばし退避すればいいでしょう。
しかし掛かっている魚はそうはいきません。
アングラーは引き合いたいのです。
つい引いてしまい、魚はルアーとボディーにくくり付けられたまま岸の岩の間に寄せられ巻き込まれます。
カンヌキ状のルアーにくくられたまヒラは叩きつけられ殆どが死ぬか重傷を負うでしょう。

それでも大型が掛かりなどすればアングラーは色めきたち、取り込もうとするでしょう。
度胸のあるアングラーは岸際に出向き、いっそう危険にさらされることになります。
度胸が沸かないアングラーは怖くなってラインを切るのでしょうが魚に残されるラインはやがて岩に絡み魚を拘束します。
切るくらいなら投げなければいいんですね。


この画像を収録する20分前、私は彼らに会いに行きました。もちろん私はロッドは持って行きません。
「小さいのは取れるだろうけど危ないからやめてね、気をつけてね」という話はさせてもらいました。

念のため、違うポイントに向かう途中、向かいの岬から見たのがこの一連の画像です。
残念なことに撤収する準備をしているようには見えませんでした・・・。

もちろん2〜3キロまでの個体ならば抜き上げることも出来なくはないのですが大型はまず絶対と言っていいほど取り込めません。
そして掛かってくる個体の大きさは選べません。(そもそも皆、大きいのを狙っていますから)

狙い通り大型が来れば勇ましいアングラーは遭難する危険があり、幸いにも波を避けることができても結局魚は傷つき、必ずバラシます。
沖でバレれば不幸中の幸いですがスレます。
要は
この日投げても、何にもならないのです。

10数年を掛けて成長した個体がヒットしてもそれを取り込む宛の無いままアタリを楽しむだけの結果になるとしたらこれは個人の楽しみの範囲を超えるのはあきらか。
取り込めたとしても多くの人を危険にさらすことになりそんな釣りを称えることは困難です。

なぜなら予見されていた危険による遭難はアングラー全体の危機管理能力への信頼を失わせるからです。
止むを得ない不慮の危険とは全く違うのです。そんな無謀からの遭難は救助に出なければならない人たちの力を萎えさせるでしょう。

そして救助に出向かねばならない人たちさえも危険にさらすことになるのです。
不幸にもアングラーが死亡していても捜索をすることになります。ルアーマンの危機意識の甘さが指弾されるでしょう。

捜索や救助は人道的にやむを得ず行うことであり、厳しい場所に行かねばならないレスキューの人たちの苦労を思うと本当に大変だと思います。
ですから彼らには心苦しくも苦言を呈させて頂きました。

アウトドアワークであるルアーフィッシングに危険はつきものではあります。ですからなおさら無謀との境界、リスクの射程距離を見極めるべきです。
繰り返しで恐縮ですが自分たちだけの問題ではないです。
明らかな危険、あきらかな取り込み困難があるとすれば加地さんや他の多くのアングラーさんがいつも謙虚に判断されているように伊豆のこの日のようなポイントでは勇気を以って撤収する以外に道はないのです。

たとえどんなに遠くから来ようと、たとえどんなに大きな犠牲を払って来ようとです。

「何日も待ったんだから、せっかく遠くから来たんだから投げよう」・・・はタブー。

BFT新潟の古源さんと8日粘ったときでもその釣れた一日のために8日を待ち、費やしたと言っていい結果でした。
彼らに分かってもらえることを願っています。

加地さん、タイムリーなアングル、ありがとうございます!

ボーグ山本より



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